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モダン数寄屋住宅

須和田の東屋

建築物ではない
東屋

「須和田の東屋」は全7邸の分譲住宅地(市川市)のシンボルとなるような東屋を建ててほしいと、株式会社拓匠開発(千葉市)の工藤英之社長から直々にご依頼をいただいた案件である。以前にも一緒に仕事をさせていただいたこともあり弊社を良く理解していただいた上で、工匠常陸にしかできないような面白い東屋を提案して欲しいという有難い依頼であった。
 しかし、いざ取り掛かると東屋を設置する場所は法令により建築物を建ててはならない場所であり、何かしらの工夫が必要であることが判明し面食らってしまった。そこでご提案させていただいたのが東屋のようなベンチのような秘密基地のような少し変わった空間である。
 屋根は無く、基礎も無い。そして、いつでも簡単に解体し、別の場所にまた組み上げることができる。そして社寺建築の技術と数寄屋建築の技術、弊社のノウハウを必要とする建築物のようなモノ。  仕事を楽しむ、挑戦を楽しむ、過程を楽しむ、そんな工藤社長にしか通らない提案であったかもしれない一風かわった空間を拓匠開発と楽しみながら、令和3年12月に完成させた。

  • 建築物ではない東屋
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 本プロジェクトは、26歳の若い大工職人がすべてを任された。彼は木取り、加工、墨付け、刻み、鉋仕上げ、全ての工程をほぼ一人でこなした。
 今回の東屋は曲線が多いのが特徴である。写真は一塊の木材から4つの桁材を木取り、それらを組み上げ円状の桁を作り出している様子である。
 直線ではない表面を鉋で削り形を整え、夢中で仕上げる様は20代とは思えぬ頼もしさを感じさせる。

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桁から上は樹齢100年以上の油気のある杉の赤身を使用し、移築の際には桁から上がそっくり分解できる納まりとした。
よって、移築の際に銅板をはがして新しく葺きなおす必要がない。

建築物ではない東屋

建築物ではない東屋

建築物ではない東屋

建築物ではない東屋

建築物ではない東屋

建築物ではない東屋

幅900ミリ、厚さ90ミリの米杉の赤身の一枚板を三枚並べ、円形に切り取り、側面からアリ桟を滑り込ませることで一体化させた。
釘やビス、接着剤などで完全に固定せず、木材同士を組み込むことで三枚を一枚板にすることが重要である。

建築物ではない東屋

建築物ではない東屋

 無垢板は雨に濡れることで幅が膨らみ、表面が反り上がる。そして日光や風に当たることで乾燥し幅が縮まり、表面が濡れた時とは逆に反る。よって、釘やビスなどで固定してしまうと無垢板の伸び縮みする動きについていけず板が割れてしまう。また厚みが90mmの一枚板の反る力は強く、釘やビスなどの金物では動きを止めることができず、固定した場所から裂けてしまう。
 この問題を簡単に解決してくれる工法がアリ桟である。昔からある木製の鍋の蓋と同じ納まりであるが、やはり材料が大きいと大変である。その分、見ごたえもある。

建築物ではない東屋

櫛型が並んでいる様子

建築物ではない東屋

野地板の一層目を打ち付けている様子

建築物ではない東屋

写真(右・上):手で野地板の表面を撫でながら、丁寧に鉋で形を整えている様子

建築物ではない東屋

建築物ではない東屋

建築物ではない東屋

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

 社寺建築の屋根に使われる工法の応用であり、くし形と呼ばれる下地を並べて、細い野地板を曲げながら隙間なく打ち付けていく。そして最後に鉋で削り形を綺麗に整える。
 銅板葺き仕上げの下地であり、隠れてしまう部分ではあるが、実はとても上質の杉材を使用している。硬い材料では綺麗に反らず、柔らかい材料だと銅板を止める釘が効かない。節が在ると反る前に節の部分で折れてしまう。よって無節であり粘りがありよくしなるが程よく硬い山武杉の赤身を野地板に使用した。
 和室の鴨居や廻り縁に使用できるような山武杉の無節材を細く製材し三層に打ち付けた。
 一層目は白太が多い材を使用し、二層目、三層目に硬く油気があり腐れに強い赤身を使用した。最後にアーチ型の定規を屋根にあてながら鉋で屋根下地を削りだし形を綺麗に整えた。

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

全国各地でお寺などの銅板葺きの屋根を手がけている板金屋さんが、屋根の曲線の型を取り、丁寧に葺いてくれました。

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

 柱を貫通している貫は自作の竹釘で固定してあり、解体時に必要以上に柱や貫を傷つけることのない抜きやすい納まりにしてある。このような木造の工作物や建築は耐久性だけでなく修繕性も重要である。
 竹釘は綺麗に打ち込み易く、綺麗に抜き易い、最適の太さと形状を試験しながら決定し、竹の強度と耐久性を上げるためにフライパンに油を敷いて炒った物を使用している。

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

社寺建築の屋根における蓑甲の納まり

須和田の東屋

須和田の東屋

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